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元CAが語るANAのリアルな現場! 受験前に知っておくべき5つのポイント

元CAが語るANAのリアルな現場! 受験前に知っておくべき5つのポイント
 コロナ禍の中、エアライン業界の採用が中止となり、ショックを受けた方もいらっしゃると思います。しかし、これまでもバブル崩壊やリーマン・ショックなどで採用中止になったこともありましたが、再び採用が開始されました。今回も必ず採用が再開される時が来ます。それまで何をするべきか、今できることは何なのか、その点も踏まえて、元CAで現在はアイザックでエアラインの講師をされておられる先生方へインタビューをしてきました。今回は、ANAに3年間勤務されておられた阿部真由子先生に、ANAの社風や当時の経験談、これからCAを目指す方々へのアドバイスなどを伺ってきました。

旅行会社の就活全滅からの起死回生で、ANAの内定を得た阿部先生


 大学卒業後、新卒でANAに入社した阿部先生。しかし、入社当時はバブル崩壊の頃で、4月の入社が11月に延期になり、翌年からは採用が中止になるなど、現在のコロナ禍の状況と似たような時期を経験されました。
 阿部先生の両親のご実家が岩手にあったので、幼い頃から飛行機を使う機会が多く、元々CAに興味があったそうです。高校生の頃、短期留学でオーストラリアに行った際、初めて国際線の飛行機に乗り、CAの仕事をしてみたいと思った阿部先生。大学3年生になって進路を考えた時、高校生の頃の想いを胸にANAのCAに挑戦することを決意しました。ただ、CAになれる人はほんの一握りで、なれない可能性もあったので、旅行会社も受けることにしたといいます。旅行業務取扱管理者という資格も取って、愛知県にある旅行会社を全て受けたのですが、どれも不合格となり、残るはANAだけとなってしまいました。絶対ANAに就職したいと熱意を新たに、旅行会社に落ちた理由を徹底的に分析してみると、志望動機が薄かったことに気付かされたといいます。
 ANAの就職試験を前に、会社や就航地について調べたり、日本国内について何を聞かれても応えられるよう徹底的に準備をしました。また、モチベーションを上げるために「エアステージ」(当時は「スチュワーデス」)の雑誌の表紙に載っていたANAの制服を見ながら、絶対これを着て空を飛ぶんだという強い意志をもって勉強をした結果、見事合格されたそうです。

ポイント1 先輩からの“後押し&アドバイス”で、失敗を恐れずチャレンジできる


―ANAはどのような社風でしたか?

 何事にもチャレンジできる社風だと思います。1年目から機内販売の担当がしたければ、「いいわよ、やってみなよ」と背中を後押ししてくれ、失敗しても、フォローをしてくださるので、失敗を次に活かせることができました。また、褒め合う文化があり、フライト後など「よかったよ。ここをこうすると次はもっと成功すると思うよ」とアドバイスをもらえました。そのおかげで、失敗を恐れずにチャレンジできていましたね。

また、常に目標設定をしてからフライトをするので、毎回達成感を得られていました。1年目の頃は、「お客様が降りる時に10人以上からありがとうと声をかけてもらえるような接客をする」という目標を立てていました。先輩から頑張ってみようと後押しされ、フライト後、「何人にありがとうって言ってもらえた?」と聞かれ、「20人以上です」と言うと、「良かったね、達成したね。次はもっとこういうふうにしてみよう」と今後の目標設定の手伝いをして頂きました。

乗務員同士も良い雰囲気で、フレンドリーな会社だと思います。目標設定やチャレンジが苦手な人には厳しい職場かもしれませんが、目標がある人にとっては楽しく働ける良い職場だと思います。

―モチベーションを高く持って働ける職場なんですね。現役の頃、阿部先生は主にどのような路線を担当していましたか?

入社してから半年後に国際線の資格を取ったのですが、名古屋空港支店にいたので、国際線はホノルル線のみでした。月1、2回ホノルルのフライトが入っていましたね。



―ステイ先で印象に残っている出来事はありましたか?

 ホノルルでのステイだと、先輩とおいしいものを食べに行ったことですね。成田空港支店や関西国際空港支店の方と一緒に乗務をして、ご飯を食べに行くこともあり、成田空港や関西国際空港の雰囲気も聞くことができました。また、皆さんおいしい店をご存知だったので、お勧めのお店に連れて行ってもらって、お客様にもそのお店をご案内できたのは貴重な経験でしたね。

ポイント2 チャレンジ精神や好奇心があり、五感で感じられる人材が求められる

―ANAが求める人物像について教えてください。

 一番は、挑戦できる人、失敗を恐れず学ぶことができる人ですね。二番目に、好奇心旺盛な人だと思います。興味がないからと切り捨てるのではなく、流行っているものや新しいものに興味を持って、視野を広げていける人も求められます。三番目は、見たり、聴いたり、香りをかいだりなど、五感で感じて楽しめる人です。機内食の料理についても、ビジネスクラス、ファーストクラスになると、お客様にワインをお勧めする機会が増えます。味を知っていないとどういう料理にどんなワインが合うか分からないので、お勧めできないんです。また、五感で季節を感じることができると、夏に行くと良い観光地、冬に行くと良い観光地をお勧めできるので、五感で感じる力は求められると思います。お客様から、「春に行くと良い観光地ってどこ?」、「夏の仙台はどこに行くのがお勧め?」と聞かれることがあるのですが、答えられないと「そっか、そっか。ごめんね」と言われ、期待に添えられなかったと落ち込むことがありました。五感で四季を感じることが大事だということに気づかされましたね。


―勤務するうえで英語力はどの程度求められましたか?

 名古屋からホノルルは日本人のお客様が多かったのでそれほど英語は必要はなかったと思います。一番英語力が必要だったのは国内線でした。特に名古屋ー成田路線は外国人のお客様が多く、日本の文化や観光地などを尋ねられることがよくありました。日常会話はもちろん、英語で日本について説明をする力を求められました。
今はTOEIC600点あれば英語の試験は免除になりますが、当時はTOEICのような英語の入社試験がありました。なんとか通過したのですが、英語力がそれほど高くなかったので入社してからが大変でしたね。契約社員で入社したので、英語の試験が1年目にあり、それに合格しないと2年目の契約ができないとされていました。2年目からは電話での英語の試験で、ジェスチャーが通用しないので、英語力がないと大変でした。常に語学の勉強はついてくるので、CAの仕事をしている以上逃れられないですね。

―仕事をしながらの勉強は大変だったと思いますが、どのように英語の勉強をされていましたか?

 英会話スクールに通っていました。その他は、接客英語という本があったので、音読したり、何か使えるものがないか調べたりしていました。また、英語で日本について説明する上で役立ちそうな本を見つけて、お客様との会話の中で使えそうなフレーズを探したりしていました。
 国際線になると外国人CAとも乗務するので、英語での意思疎通が必要になります。国際線でも国内線でも英語力は必ず求められます。アイザックでも生徒さん方に、英語から逃れられない仕事なので、英語ができないと苦労するということは伝えています。また、英語ができる方はそれだけで満足するのではなく、中国語やスペイン語など、何でも新しい語学に挑戦して頂くといいと思います。

ポイント3 一期一会のお客様との出会い、お客様の笑顔がCAのやりがい


―乗務中の思い出はありますか?

 お客様に対してサプライズをして差し上げたことですね。結婚記念日や誕生日などの当日に飛行機に乗って旅行に行かれるお客様がいらっしゃると、その方に対して乗務員全員で絵葉書にメッセージを書いたり、パイロットさんにもメッセージをお願いして、キャンディーと一緒にお渡しするんです。驚かれる方が多くて、サプライズをするのは楽しかったですね。他のCAさんも面倒くさがることなく、「いいね、やってみよう」と書いてくれました。何人ものお客様にサプライズをさせて頂きましたね。

 羽田ー福岡の便を乗務したことがあるのですが、男性のビジネスマンのお客様が機内の写真を撮られていたんです。ポケモンジェットの飛行機だったのですが、何で撮っているのかなと思い、「いかがなさいましたか?」と話しかけてみました。「実は子供と乗りたかったんだけど、僕だけ先に乗っちゃって」と仰り、お子さんのために写真を撮っていたことが分かったんです。ポケモンジェット特有の絵葉書や紙コップがあったので、おもちゃと一緒に袋に入れて、ぜひお子さんにとお渡ししたら凄く喜んで下さいました。「今度は子供と一緒に乗ります。また会えるの楽しみにしています」と仰って下さいました。私は普段名古屋ベースなので、またお会いすることは難しいことが分かっていました。お客様との出会いは一期一会なんだなと思うとお別れが寂しくなり、ちょっと涙が出そうになりました。 


―1年目と2年目以降の大きな違いは何でしたか?

 乗務を重ねていくことで慣れてきて、路線の特徴を掴めるようになったことが大きな違いだと思います。例えば、九州路線はお子様連れが多く、名古屋路線だと観光の方が多いというように、路線ごとにお客様の特徴があります。観光で行かれる方の中には乗り慣れていない方もいらっしゃるので、それを頭に入れてお客様ひとりひとりに気を配るよう心構えができるようになりました。
 福岡や札幌の路線では、ビジネスで乗られる方も多いので、ビジネスマンの方にはあまり過剰に接客をせず、辺りを見回していたり、手持無沙汰の様子であれば新聞をお渡しするということを心掛けていました。旅行に行かれる方であれば、とにかく話しかけて盛り上げるようにしていました。

 1年目は仕事を覚えることに必死で余裕が全くなかったのですが、2年目からは余裕が出て来てお客様ひとりひとりに目を配り、お客様との会話を楽しむことができるようになりました。
 1年目は本当に大変で、休みの日は寝て過ごしたり、勉強をして過ごしたりしていました。国内線だと、お盆に1日4便飛ぶ日もあり、一番大変だったのが、名古屋ー宮崎、宮崎ー名古屋、名古屋ー鹿児島、鹿児島ー名古屋という乗務スケジュールでした。2年目になると同じフライトスケジュールでも余裕が出てきたので、楽しむことができましたね。

 余裕の出てきた2年目以降は、楽しみながら仕事ができていた記憶があります。時には叱られることもあったのですが、同じことを何度も叱られることはなく、その時にしっかりアドバイスをしてくださり、次に活かすことができました。


―CAの仕事をする上で、やりがいを感じたことは何ですか?

 お客様からの「ありがとう」や、「また会いに来るよ」の一言がやりがいでしたね。搭乗の時にムッとした顔で乗られるビジネスマンの方がいらっしゃるのですが、その方の心が和らぐような接客をすると、目的地に着いてから、「ありがとう、行ってきます」と笑顔で声をかけて頂くことがありました。自分の接客でお客様を笑顔にできた時は、やりがいを感じられましたね。このような嬉しい出来事が乗務を続けるやりがいでもありました。

ポイント4 失敗を恐れずチャレンジして、ステップアップ



―ANAのキャリアステップについて教えてください。

 ANAに入社すると、国内線、国際線の資格を一度に取って両方を乗務します。その後、社内の資格を取っていくのですが、エコノミークラス、ビジネスクラスのパーサーの資格を取って、‘’チーフパーサー‘’という責任者の立場になれるキャリアステップがあります。以前は昇進できる年数が決まっていたのですが、今は若くてもこの資格を取っていけばどんどん昇進できます。

 パーサー、チーフパーサーを目指した後は、‘’スタッフアドバイザ―‘’という仕事をすることができます。CAとしての今までのおもてなしの経験や、乗務経験を活かして、フライトの品質サポートをします。例えば、機内販売の商品を考えたり、ソムリエの資格があれば、機内のワインに関する仕事ができたり、機内食の品質や、お客様に喜ばれる機内食の提案をすることができます。

 また、‘’チームコーディネーター‘’という、若い層の方を育てる、フライトの班長のような役割を担うこともできます。

 他には、人を育てる‘’インストラクター‘’の仕事や、人事の仕事もあります。飛行機を降りても、CAの経験を生かした仕事ができます。


―ANAに就職して良かったと思えた点は何でしょうか?

 失敗することを恐れずに、色々なことにチャレンジできるようになったことですね。
 CAを辞めてから転職をする時も、今まで経験してきたことのない分野に挑戦して、人材派遣会社の営業に就職しました。その後はまた航空会社に戻って、事務の仕事をしました。アイザックでエアラインの講師を始めてからは、アイザック生のお役に立てるようキャリアカウンセラーの資格を取ったり、教育とはどういうことなのかを考えるために教員免許も取りました。ANAのCA経験から、チャレンジできる自分になったと思います。

 もうひとつは、人との出会いを大切にできるようになったことですね。お客様とは一期一会で、次の乗務の時に会えるわけではないので、お客様ひとりひとりとの縁を大切にできるようになりました。一期一会の重みを感じるようになりましたね。
 また、会えてよかった、話ができて良かったと相手の方が思えるよう、安心できる雰囲気を作るための気遣いができるようになったと思います。

ポイント5 色々な業界や興味のなかったものに目を向けて、CAの仕事に活かす


―コロナの状況を踏まえてこれからエアライン業界を目指される方にメッセージやアドバイスをお願いします。

 エアライン業界だけでなく、色々な企業に目を向けることを勧めています。今まで興味がなかった業界にも目を向けて、コロナの対策をどうしているのか、コロナ禍を乗り越えるために何をしようとしているのか、世界が、日本が、元に戻るにはその業界がどうあるべきかなどを知ることで、エアライン業界のお客様が戻って来る糸口が見えるかもしれないので、とにかく色々な業界を見るようにしてくださいと生徒さん方にお伝えしています。

 また、コロナの影響で採用が中止になってしまったので、違う業界に就職される方は多いと思います。自分が行きたい業界じゃなかったとマイナスに考えるのではなく、違う業界でもしっかり学んでCAにどう活かせるのかを考えながら過ごして頂きたいと思います。事務職だと接客の機会はあまりないですが、接する方全員をお客様だと考え、お客様が気持ちよく過ごされるためには自分に何ができるか考えて働いてほしいということをお伝えしています。

 エアライン業界を目指される方にとっては厳しい状況になってしまいましたが、この中でも自分に何ができるのか、航空業界や社会に求められる力を見つけ出して頂けたらと思います。英語を勉強するのはもちろんですが、今までしてこなかったことにチャレンジして、新しい自分を発見してほしいと思います。
 例えば、あまり料理をしたことがなかった人であれば、味だけでなく盛り付けにこだわって料理を作って、家族にふるまってみてください。ビジネスクラスとファーストクラスでは、盛り付けることでお客様においしさを提供しないといけないので、基礎が養えると思います。

 また、スポーツ観戦に興味がなかった人は是非スポーツ観戦をして頂きたいです。お客様の中に野球が好きな方がいらして、どこのファンか聞かれたことがありました。野球には興味がなかったのですが、名古屋ベースだったので中日と答えました。そうしたら、「昨日、誰々が打ったよね!」と言われ、「そうなんですか?」と言うと、「そっかあ、野球知らないか」とがっかりした顔をされたんです。その時のことは今でも大後悔として残っています。色々なスポーツに目を向けて、選手の話題などでお客様との話を盛り上げることができます。
 必ず役に立つことがあるので、スポーツでも何でもいいので、今まで興味がなかったことに触れ、知識を増やす期間にしてもらいたいですね。色々な物を見て、触れて、五感を養ってほしいと思います。

最後に

 
いかがでたでしょうか? コロナ禍の不安定な時期ですが、必ずまた採用が再開される時が訪れます。今はもどかしい時だと思いますが、準備期間だと前向きに捉えて、更なるレベルアップを目指すのもいいかもしれません。アイザックエアラインスクールには、阿部先生のように元CAで、スキルのある講師が多数在籍しております。ぜひ講師と一緒に合格までの準備、あるいは更なるレベルアップをしてみませんか? まずは無料体験レッスンをお試し頂けます。


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