JAL(日本航空)客室乗務員の面接を受けて新卒で内定を頂き、10年勤めた期間、航空業界への新卒既卒採用のお手伝いもさせて頂きました。キャビンアテンダントになるには、採用試験での「面接対策」が重要です。その経験からJAL客室乗務員の採用面接試験で失敗しないためのポイントをお伝えいたします。
JALの客室乗務員の採用面接では、面接官はお客さまの目線になって、受験者の「第一印象」をチェックしています。
面接室のドアを開けて「失礼いたします」と挨拶するその数秒間。入室時のあいさつで周りにぱっと明るいオーラをまとっている方は、面接後もそのイメージがのこります。
第一印象は2つに分けることができます。
一つは0.6秒~6秒かけて判断する「瞬間印象」、そしてもう一つがその後2~3秒で判断する「本質印象」です。
統計で第一印象が良いとその後の関係が8倍~10倍スムーズに進むと言われています。反対に、第一印象が悪いと回復させるのには3年の努力が必要とされると言われています。
あいさつをする際に何よりも大切なのは目を合わせることです。お辞儀をする前に「よろしくお願いします」という気持ちを視線で伝えます。お辞儀した後は目を合わせずに歩き始める方が多いので、ここも再度相手と視線を合わせて心の中で「お願いします」と唱えながら笑顔を交わしてみてください。
1~2秒のこの間に、信頼感が構築されます。
客室での仕事で重要な一つが「目で会話をする」ことです。アイコンタクトにこちらの気持ちを込めて相手に伝えるというものです。
例えば、ヨーロッパ行きのエコノミークラスでのこと。一回目のお食事が終わり機内も落ち着いた頃、客室乗務員は照明を落とします。寝ているお客さまも多い中、私たちはゆっくり客室を歩いて「何かお客さまからリクエストがないか」、「皆さま快適におすごしいただいているかどうか」をチェックします。
満席のエコノミークラスでは、多くのお客さまが席を倒してお休みになっているこの時間帯、席を立つのが困難です。特に窓側にお座りのお客さまは、隣でお休みのお客様をまたいでトイレに立つのも一苦労です。ですが「お客様がそっとしておいて欲しい時間」もあるわけなので、お休みのお客さま越しに一人ひとりお声をかけて回る訳にもいきません。
そういう時こそ目で会話。奥にお座りのお客さまに「何かございましたら、いつでもお声をおかけくださいね」という気持ちを込めて笑顔でアイコンタクトするのです。
また、ビジネスクラスでは一人で20名近いお客さまを担当することもありました。「美味しいお料理にはワインやお酒をあわせて楽しんでいただきたい」とサービスのイメージトレーニングをして機内に向かいます。
しかし、実際のフライトでは、20名近いお客さまが同じペースでお食事をなさるわけではありません。早くお食事を済ませて仕事に取り掛かりたいお客さま、お食事サービスの途中からお目覚めになるお客さま、お酒を良いペースで楽しんでいらっしゃるお客さまなどが混在する、てんやわんやな状態です。
お食事を両手で下げながら、ワインが少なくなっているお客様や次の食事をお待ちになっていらっしゃるお客様の横を素通りするのはつらいもの。そのような時こそ目で会話です。
「お客さまの状況は把握しております。すぐにワインを持って参ります。」という気持ちを笑顔の視線を込めてお伝えします。
客室乗務員の仕事では、視線を「相手の目⇒もの⇒相手の目」と動かしてお客さまと接する機会が多くあります。例えば、お飲物を提供する際「只今いれたてのコーヒーでございます」とお伝えした後、「お客さまの目⇒お飲物に目を落として確実に受け渡しを行う⇒再度、お客さまの目」と視線を移します。
「この後すぐにワインをおつぎしに参ります」と視線で伝えたい時もそう。お客さまの目⇒少なくなったワイン⇒お客さまの目を見て笑顔!!2~3秒の無言のやりとりですが、お客さまは必ず理解してくださり、笑顔を返してくださいます。
喉が渇いたので飲み物を頼んだとします。その際、
A: 「かしこまりました」と礼をした後、さっと進行方向を向いて歩き始めてしまう。
B: 「かしこまりました」と礼をした後に自分の目を見てニコッと笑顔向ける。
どちらの乗務員に対応してもらいたいか答えは誰もが同じだと思います。
日本航空でもAで例に挙げたように充分なラストアイコンタクトを取らないと「目切りが早い」と注意されます。この数秒間にアイコンタクトを大切にすることで動作に心を込めることができるのです。
有田りな
慶應義塾大学卒業。新卒で日本航空株式会社に入社。客室乗務員として10年勤め、在職中は大学での講演、雑誌やテレビの取材に多数出演し、就職情報雑誌月刊エアステージではJALの特集号で表紙も飾る。 現在アイザック エアラインスクール講師。社団法人日本マナーOJTインストラクター協会マナーOJTインストラクター、接客英会話インストラクター。
“客室乗務員は「自分を磨き、相手を幸せにする」仕事で、目指そうと決めた日から心磨きが始まっています。大学3年生の秋からアイザックに通い、先生方のご指導や励まし合える仲間のおかげで夢を叶えたアイザック卒業生講師です。皆様の期待や不安も共有しながら「夢を叶えるための時間も楽しい!」と感じていただける授業を目指しています。”
<免責事項>
採用情報は、必ず各航空会社のホームページでご確認ください。
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