こんにちは。アイザックエアラインスクール講師の有田りなです。
アイザックエアラインスクール渋谷校では、学生の方々に向けて客室乗務員の仕事に関する講座を行っています。
修学旅行の一環で、“職業体験”を行う学校も増えてきているのですね。東京近郊の学生は勿論のこと、名古屋や山陰地方からの学生への講座も担当しました。
「昨日はディズニーランド、この後は東京タワーです!」というようなスケジュールのなか足をお運びいただくので、ワクワクする旅行の一部となるよう心掛けています。
本日は、私が客室乗務員を目指す高校生・中学生の方へお話しすることの一部を紹介いたします。
題して、「客室乗務員になる為に、高校・中学時代にできること」です。
3つのトピック、
1.興味あることに打ち込む
2.語学はツールであると認識し、会話を楽しむ
3.ちょっとした心がけ~一日一善~
に分けて、お伝えします。
高校・中学生の皆様にとって分かりやすい例として、部活動に焦点を当ててお話しします。
皆様は今、試合に勝つこと、入賞することなどを目指してハードな練習に打ち込んでいらっしゃることと思います。
「客室乗務員を目指す人には、どの様な部活動がお勧めですか?」と聞かれることもあるのですが、
実は「特に○○に打ち込めば、客室乗務員になりやすい」という、お勧めの部活動はございません。スポーツの部活動だけではなく、書道部や吹奏楽部の活動に打ち込んできた方も多くいらっしゃいます。ポイントは「打ち込む」、ということ。本気で取り組むからこそ、悩みや挫折も味わうはずです。どんなに頑張っても、スターティングメンバーに選ばれない。練習に真面目に参加してくれない部員との向き合い方。自己スコアとの終わりなき闘い。思い通りにいかないこともありますよね。
ただ、仕事を得るという就職活動においては、先に述べたような苦しい経験をどの様に乗り越えたかに注目します。
実際、客室乗務員の面接では「今まで長く打ち込んできたことと、そこから得たことを教えてください」「挫折した経験はありますか」「モチベーションの低いチームメイトにどのように声をかけますか」というような質問が頻出し、物事への取り組み方、捉え方がチェックされます。「そんなことが自己PRになるの?」と目を丸くされる方もいらっしゃいますが、突出した結果や成績だけが自己を売り込むポイントにはなりません。
『テニス部に3年間所属しましたが、どんなに頑張っても自分一人だけ選手に選ばれず、辞めようかと考えることもありました。しかし、チームメイトが諦めないで頑張ろうと励ましてくれ、試合ではチームのために心を尽くして応援しました』
こんなエントリーシート(会社に提出する書類)に目が留まり、素直に伸びる力、相手を想う力、前を向く力を感じます。
先ほど、スポーツ関連の部活動でなくても、興味があることに取り組むことをお勧めしました。ただ、客室乗務員の仕事に体力は不可欠ですので、体力作りから遠ざからないよう心掛けてください。体力があることを、提出する履歴書や面接中にお伝えするべきだと思いますし、「部活動に所属していた」という事実で、過剰にアピールしなくとも基礎体力を確認していただく事が出来ます。
部活動といえば、マネージャーも客室乗務員の面接では大きなアピールとなります。人のために一生懸命になる姿勢が接客業と重なるからです。「プレイヤーをするほど体力がないからマネージャーとしてチームに携わりたい」とご自身の体力に自信を持てない方もいらっしゃるようですが、マネージャーも立派な体力仕事ですよね。炎天下の中、大量のスポーツドリンクを運んだり、ウエア―を洗濯したりと、想像するだけでも大変そうです。
また、客室乗務員の大切な要素である「保安要員」と重なる部分もあります。選手の怪我を未然に防ぐよう細かな配慮をしたり、怪我や熱中症の対応にあたったりすることもありますね。大半の受験生にはない、貴重な経験です。
また、日本文化と関連が深い部活動もお勧めです。
日本の企業は、剣道、柔道、空手など、「礼に始まり礼に終わる」精神を身に付けている学生を好む傾向があります。
また、華道や茶道でお客様をおもてなしする心遣いやスキルは、実際のフライトにも役立ちます。日本舞踊などは、指先まで神経を行き渡らせる振付を徹底する為、ご本人は無意識でも美しい所作は面接官の目に必ず留まるはずですよ。
「バタフライエフェクト(ButterflyEffect)=日本語に訳すと蝶々効果」という言葉をご存知ですか?
私は蝶に例える英語の表現が美しくて好きなのですが(havebutterfliesで恋愛中のドキドキ感を表現することもあります)、バタフライエフェクトとは「過去の些細な行動が、時間と共に意味を増し、未来に大きな違いをもたらす」という意味です。
社会に出て10年以上も経つと、没頭していた趣味が仕事になったり、仕事の幅を広げる引き出しとなったりするケースに多く遭遇します。
無駄な経験はひとつもありません。人と違う事に打ち込むことに、自信を持ってください。そして、目に見える成績や成果がのこらなくても、気にしないでください!打ち込んだ経験、壁にぶつかって試行錯誤する経験、達成感を感じた経験が、大人になったあなたへのギフト(gift=才能)となるはずです。
Are you good atEnglish?
この答えに、yes と答えた方も、no と答えた方も大正解!!
皆さんは、英語がお上手で、よく理解していらっしゃいます。
「それでも英語が苦手だな」と感じる方。それは代表的な日本人の気質である“謙遜”です!
機内で外国人のお客様と話をしていると、”by theway, I can speak Japanese!” と日本語が話せますよ!と自信たっぷりに声をかけてくださる方がいらっしゃいます。よくよく話を聞いていると「ありがとう、いち、に、さん、し」の5つの単語が話せるとのこと。私は、「そっか、それだけ話せるだけでも、あんなに自信たっぷりに“私は日本語はなせるわ”と肯定的な表現するのか」と感心してしまいました。
まずは、日本の義務教育で学ぶ英語で充分コミュニケーションができることを再度認識していただきたいと思います。
そのうえで、
どの様に英語に取り組むかについて、私の失敗談をもとにお伝えしたいと思います。
英語を使う事が楽しいと感じるようになったのは、実は、学生生活も残すところ半年となった大学4年生の夏でした。
それまでも、英語の勉強はきらいではありませんでした。
ただ、私にとって英語は他の科目と同様、試験で高得点を取ることが目的でした。
歴史の年号と同様、単語や構文を暗記し、国語の問題文を読むように、英文を読んできました。
そんな私が、カナダへのホームステイを経験して現地の友人ができたことで、
「伝えたいことがあるから、英語という手段を使う」という気持ちに切り替わったのです。
一緒にキャンプに行けば、テントを張るために「ピーンと張るよ、せーのっ」「そのポールを取ってくれる?」と自然と声かけをします。キャンプファイヤーでマシュマロを焼きながら、「そうだ、私、美味しい焼きりんごの作り方を知ってる。皆にも作ってあげたいな」という気持ちが湧いて「美味しい焼きりんご、作るからね!」と伝える。「あ、これって、○○に似てる(笑)」と思いついたことを共有したい、だから必死で伝える。
伝えたい気持ちを英語という手段で伝える、という繰り返しで、英語が聞こえる耳ができ、英語が出てくる口ができたように思います。
「テストやTOEICで高得点を取る」という点から、「友達と話したいから」という目的に変わったことは、色々な変化をもたらしました。勉強のために聞いていた英語のニュースは、英語でも日本語でもニュースを聞くという日常の一コマにかわりました。友人とスカイプをしたり、遊んだりしながら「この気持ちって、そういう風に表現するんだ」と新しい表現を学び、自分でも「この気持ちを的確に伝えたいから」英語表現をチェックします。そうすると自然とTOEICの点数があがり、TOEIC対策自体もやたら楽しくなる。好循環をつくってくれたのは友人であり、そのような経験を入社前に経験出来て良かったと思っています。
とはいえ。
日本語で、何不自由なく生活できてしまう日常。
英語を学ぶモチベーションもあがりづらいのは、私も経験したので分かります。
それでも、「海外に行ってみたいな」とちょっとでも興味が湧いた瞬間があれば、
是非チャレンジしていただきたいと思います。
社会人になって気付いたのですが、
学生向けの奨学金就き留学制度、思ったより沢山あるのですよ。
大使館の前を通ると掲示されていたり、新聞や市が発行する情報誌などにも掲載されていたりします。
今はインターネットという便利なツールで、どこにいても情報を入手することもできます。
目標が定まると、人は急速に力を発揮します。
一回目でチャンスを得ることが出来なくとも、チャレンジを重ねることで道は必ず開けます。
確実に会話を楽しむ方法として、
語学スクールに通うという方法もあります。
可能であれば、外国人の先生と一対一で話をする
プライベートレッスンがお勧めです。
集団でのレッスンは
自分が話さなくても、授業が進んでしまいます。
プライベートレッスンでは、
先生がお話しすることの意味が分からなければ、その都度質問をしながら
理解を深めることも出来ます。
自分が会話のキャッチボールをしなければ、レッスンが成り立ちませんので
確実に英会話力があがります。
そして、
その前にできること。
昨今、日本に旅行にくる外国人が増えましたね。
東京のみならず、日本中で地図を手にしてきょろきょろしている外国人の方を目にするはずです。
彼らは、私達が想像する以上に、基本的な所が分からず、右往左往しているので、
是非、do you need help? と、声をかけてさしあげてください!
最後に。
英語はスポーツと同じだと言われます。
テニスに例えると分かりやすいかもしれません。
フォアハンドはこう、バックで打ち返す時はこう、とフォームや理論を学んでも
コートにでてラリーを続けなければ、力は身に付きません。
ラリーを続けること、スクールや街角で英語をつかってみること、
それこそが、効果的に勉強するための近道です。
一日一善。誰もが知っている四字熟語ですね。
この一日一善、簡単なようで、実践できている人はすくないのではないでしょうか?
昨日、誰かの為になにができましたか?
「この人に○○すると、喜んでもらえるかもしれない?!」
このように勘を働かせて、気付きを行動に移す。
この四字熟語の意味は、客室乗務員の仕事と完全に一致します。
「あのお客様、寒そうにしていらっしゃる。毛布をお持ちしてみようかな。温かいお飲み物もお勧めしてみようかな。風邪をひいていないかな?」
「あのカップル、キラキラ眩しい新品の指輪を左手の薬指につけていらっしゃる。もしかしたらハネムーンかな?お伺いしてお祝いさせていただこうかな?」
と、常にアンテナを張り巡らせ、勘を働かせています。
客室乗務員は、自分の人間力を磨いて、お客様を幸せにする仕事です。
そして、客室乗務員を目指そうと決めたその日から、自分磨きが始まっています。
お客様の喜ぶ顔を見るために、あの手この手と工夫する。
その力は、日常生活にも活かされます。あなたのまわりの大切な人を、今以上に大切にできるはずです。
「今日は誰にどのような一日一善をしようかな」
そんなことを考えながら周りを見渡すのと、ぼーっと生活するのでは、
気付く力が大幅に変わってきます。
日本航空では、この力を「感知力」という言葉で表現しています。
客室乗務員の採用試験で頻出かつ難しい質問の1つに
「今朝ご自宅をでてから試験会場に到着するまで、何か気付いたことはありますか?」という質問があります。
アンテナを張って感知力を高めている人だけが、的確に答えられる質問だと思います。
身近なことでかまいません。是非、今日からチャレンジしてみてくださいね。
有田りな
慶應義塾大学卒業。新卒で日本航空株式会社に入社。客室乗務員として10年勤め、在職中は大学での講演、雑誌やテレビの取材に多数出演し、就職情報雑誌月刊エアステージではJALの特集号で表紙も飾る。 現在アイザック エアラインスクール講師。社団法人日本マナーOJTインストラクター協会マナーOJTインストラクター、接客英会話インストラクター。
“客室乗務員は「自分を磨き、相手を幸せにする」仕事で、目指そうと決めた日から心磨きが始まっています。大学3年生の秋からアイザックに通い、先生方のご指導や励まし合える仲間のおかげで夢を叶えたアイザック卒業生講師です。皆様の期待や不安も共有しながら「夢を叶えるための時間も楽しい!」と感じていただける授業を目指しています。”