日本航空客室乗務員のステイ先の過ごし方はについてお話します。フライトスケジュールによってステイ先は様々ですが、過ごし方もいろいろな楽しみ方があります。
国際線を乗務するようになると、海外で休息を取る時間があります。シンガポール、ハワイ等の近距離路線では1泊3日、ニューヨークやロンドンへのフライトは2泊4日というパターンが中心で、2泊4日となると、到着した日の夕方や翌日がオフになります。
航空会社によって仕組みは違いますが、「担当制」といって、月に一度のペースで同じ路線をフライトするシステムを取っている会社が多いようです。
パリ担当でしたら月に一度はパリへフライトし、48時間程度自由に使える時間がもらえるということになります。東京の銀座へ月1回足を運ぶかの如く、パリの街を散策することになるのです!!同じ月に2回フライトが入る時などもありますので、自分のサイズに合った商品を取り寄せる事も出来ます。
買い物はステイ先の楽しみの1つです。免税店は勿論、マーケットに足を運ぶこともありました。
日曜に滞在が重なると、シドニーではサンデーマーケットに足を運び、アンティーク調の食器、絵、オーガニックのアロマ石鹸などを購入しながら、ゆっくり午前をすごします。シドニーはとても洗練されている街で、スタイリッシュでモダンなものが多く扱われており、インテリア雑誌などを買いこむこともありました。
一方で、ジュリークやイソップをはじめとするオーガニックブランドも多く、日本で発売が終了してしまったお気に入りのアロマオイルもオーストラリアからの輸入品でした。ダウンタウンで探しあてた時は興奮してしまい、そのいきさつを店員の方に話してしまいました!
そのアロマオイルは、どのフライトにも連れて行くお気に入りで、気持ちを落ち着けるのに役に立ちました。一番簡単な使用方法は、ティッシュにアロマオイルを数滴含ませ、枕もとに置くだけ。
機内で仮眠を取る時などにも、重宝していました。眠れなくても、リラックスできるのでお勧めです。ANAの機内で日本をイメージしたアロマカードをお渡しするようになった時には、とても素敵なアイデアだな、と感じました。
私は好奇心が強い性格なので、旅行となると「次はいつ、ここへ来ることができるだろう?」と思い、ガイドブックやネット上の情報を収集して、買い物に観光に食事にと詰め込んでしまいそうです。
しかし、仕事での滞在となると「またフライトがはいるだろうし、無理しなくていいか」と肩の力を抜いて、まるで暮らすかのように滞在を楽しむことができるのです。
お洒落なカフェに入って本を読んだり葉書を書いたり、冬の寒い街を散策した後温かいバスタブにつかったり。大好きな時間でした。
私のお勧めは、ステイ先でのジョギングです。これは国内外問わず楽しめます。東京は35度を超す暑さが続く八月に北海道の涼しい風を受けて走ったり、冬でも温くて優しい風が吹く沖縄で走ったりできるのは、まさにこの仕事ならではのリフレッシュ方法です。CAは体力勝負ですのでジョギングで体力もついて一石二鳥です。また、和歌山城や熊本城付近でのステイがあると、お濠の周りを地元の人達に混ざってジョギングして楽しめます。
海外でのジョギングも面白い。ジョギングに目覚めるまでは、地下鉄を乗り継いでショッピングをしたりレストランに足を運んだりしていましたが、地上をゆっくり走って観光すると、新しい発見が沢山ありました。パリではセーヌ川沿いを走ると、「ルーブル美術館ってこんなに近かったんだ!」「次に見えてきたこの建物は何だろう?」など、次から次へと有名な場所に出くわします。
フランクフルトでのジョギングでは、巨大なEUのビル前に広がる公園で野ウサギを見つけました。どんどん追いかけていくと、その数30匹以上!!野ウサギが都心の公園にいるというのは、日本人の感覚にはとても新鮮で、その可愛さに興奮してしまいました。
ロンドンでも、ジョギングしながらふと教会に足を踏み入れ、そのひんやりとした空気や練習中の讃美歌に、心を洗われた日もありました。
シンガポールでのジョギングもお勧め。運河が多くあるのですが、ホテルからその川沿いに走っていくと、色とりどりの街並みが楽しめます。宗教も文化も違う民族が集まっているので、「中華系の街を通り過ぎると、インド系の街が始まる」、などと建物や人、生活の差を肌で感じることが出来ます。最後は趣のあるフラトンホテルやマーライオンのあるシンガポールらしい観光地までたどり着く事が出来ます。
フランスボルドー地方で開催されるマラソンにも参加しました。ボルドー地方は、有名なワイン醸造所が点在しています。給水所である各シャトー(醸造所)では、水分補給と共に、ワインを振舞っていただけます。
ランナーは仮装して参加!!沿道で応援してくださる有志のミュージシャンたちも皆お祭りさわぎです。
マラソン後に参加した、ボルドー在住の友人宅でのBBQパーティにて、偶然JALの内定者にもパーティにて会うことができ、びっくりしました!!(ちょうど採用のお手伝いをしており、内定者の皆様とお話をさせていただく機会も多かった年でした)
その年の内定者の皆様はマラソン熱が高く、彼女はホノルルマラソンに参加できなかったので、ボルドーマラソンに参加されたとのこと。
内定時からフットワーク軽く海外に出かけてしまうタフさは、数少ない内定枠を勝ち取った理由の一つかもしれませんね。
ジョギングの話でも出てきますが、日本と違う季節を楽しめることも、ステイの良さの1つです。国際線デビューをしたのは日本の2月で、初フライトは語学留学経験のあるシドニーでした。日本の冬に、半袖の洋服やサングラスを引っ張りだしてきてパッキングするところからワクワクしたことを覚えています。土地勘があったので、現地ではマンリーという場所まで船で渡り、同期と海水浴を楽しみました。街を明るく照らす太陽のヒカリが眩しくて、それがまた、嬉しかったです。
外資の航空会社にお勤めになれば、たとえ日本をベースにしてフライトをしていても、より深くその国を知ることが出来ますね。
文化の違いを楽しみ、その国の良さを発見することは、日本人としての人生を2倍3倍にも豊かに出来ることだと感じます。是非、皆様も客室乗務員になりたいという夢を叶え、仕事中も休息時間も、思いきり楽しんでください!
人生における最大の決断である就職活動。人生の夢や目標は文字にして書き留めると7割叶うといわれています。曖昧に描くと3割、明確に描くと7割といわれているので大きな差がつきます。JALの客室乗務員になるには今から楽しい想像を思い切り膨らませて明確な夢や目標を持ちましょう。
有田りな
慶應義塾大学卒業。新卒で日本航空株式会社に入社。客室乗務員として10年勤め、在職中は大学での講演、雑誌やテレビの取材に多数出演し、就職情報雑誌月刊エアステージではJALの特集号で表紙も飾る。 現在アイザック エアラインスクール講師。社団法人日本マナーOJTインストラクター協会マナーOJTインストラクター、接客英会話インストラクター。
“客室乗務員は「自分を磨き、相手を幸せにする」仕事で、目指そうと決めた日から心磨きが始まっています。大学3年生の秋からアイザックに通い、先生方のご指導や励まし合える仲間のおかげで夢を叶えたアイザック卒業生講師です。皆様の期待や不安も共有しながら「夢を叶えるための時間も楽しい!」と感じていただける授業を目指しています。”
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